予定では一人日帰りのはずだった。それが一泊することになったのは息子の一言だった。彼は美味しい寿司を食べたい一心での提案だったのだろう。こちらはそうあまりない機会だと感じたからお金を投じる気持ちになった。

急展開

出発の朝異変を感じた。予定時間に起きてこない。まさかと思い体温計を渡した。見ると37度後半の数値。もともと体温低い子だから普通とは明らかな違いがあった。…ガーン😨

すぐ頭を切り替えた。

だるそうな息子を置いていくのは心苦しいがもう20代後半に入ってる年齢だからなんとか対処するだろうと思い一人で富山行を決めた。前の晩の味噌汁も残っているしおかゆを多めに作った。やれることは一応やった。

ひだ号

ギリギリ間に合うかどうか焦る気持ちを抑えて自販機でチケットを購入し改札口へ行くと15分以上遅れていると知らされた。

えー!!!?もう少しゆっくりできたじゃん!!!

一人で待つ時間は15分と言えど長く感じた。その日の高山の天気は晴天とは言えないけれど晴れていた。でも風が非常に冷たく強かった。ホームに降りると風をまともに受けると思い改札付近で待機した。周りはカップルばかりで心が荒んだ( ;∀;)一人はある程度慣れてるし気楽だけれど何故か心にも北風が吹いた。フジテレビのドラマ”いちばん好きな花”での”学校の授業でなぜすぐ二人組を作れと先生は言うのか”というセリフが頭に浮かび心に沁みた。当時はそれに当惑した組だ。今回はバリバリ共感した(*´Д`)最初から一人旅と決めていたならこんなにうじうじしていなかったのに(T_T)

時間が近づいてホームに降りると海外観光客がホームから落ちんばかりに列をなしていた。居場所がない。

そんな中一つ嬉しいことがあった。重いスーツケースを席の上の荷物置き場に上げる時重くてなかなか上げられずにいると、後ろのアメリカ人風な男性に”Help!”と声を掛けられ手伝ってくれた。滅茶苦茶嬉しかった。腕がプルプルしてしんどかったから本当に助けられた。”Thank you,ありがとう”と声を掛けた。自身も何か力になれると感じた時は声を積極的に掛けようとあらためて思った。

富山駅が近くなるにつれ天候が変わってきた。雨が降ってきた。心が曇った。

富山のホームは観光客でごった返していた。”明日の帰りもこんなんかぁい!”と一人心の中でツッコんだ。

富山城

サンマルクカフェで軽い昼食を取った後路面電車に乗った。環状線に乗り国際会議場前で下車。雨は小雨になっていた。2分ほど歩いてドーミーイン富山に到着した。時間より一時間ほど早めに到着したがチェックイン受け付けてくれた。部屋を一部屋当日キャンセルで全額支払ったから融通してくれたのだろうか。疲れていたから有難かった。

時間を空けずに外に出た。雨は止んでいたが今度は傘を持って(#^^#)

丁度国際会議場前の停留所からすぐに富山城が見えたので道を戻るだけで良かった。資料館に入り、真剣に年表や城主の移り変わりを見ていたけれどあまり頭に残っていない。富山城が破却、整備、大火で焼失を繰り返したことだけは頭に入った。

徒歩圏内

車を借りる気力もなかったから歩ける範囲内で行けそうな場所をひだ号の中で決めていた。今にも降りそうな空をチラチラ見ながら歩いた。

市役所展望台は富山城から歩いて10分位だろうか。迷わず行けた。というのも道に地図や案内がそこここに設置されている。本当に有難かった。展望台には無料で行ける。山の手前に虹が出ていた。

ガラス美術館はそこから随分歩いた。歩き疲れて左膝に少し違和感を感じ始めていた。

その建物は全体が吹き抜けになっている不思議な空間だった。写真を撮ったが人が多すぎてここに載せることは難しい。従来の展示物の入場料は確か200円程。宮永愛子氏という作家の作品が期間限定で展示があったがそれは入場料1,000円だったから止めた。”グラスアート”を観た瞬間”うぁ”と声が出た。ホームページに写真が載っているが非じゃない。現物を見た方がいい。一つ一つの色がハッキリしていて心が躍る美しさだ。他にももう一つ展示があったけれど自身は”グラスアート”に興奮した。

繁華街桜木町の居酒屋で夕食を取りたかった。周りが暗くなり始めたからガラス美術館を出てひたすら歩いた。足が更に痛くなった。やっとその界隈にたどり着いた。でも17時過ぎくらいだったからかまだこの町は寝ていた。観光客一人で来るような雰囲気じゃない。シンとした薄暗い町に緊張した。宿に戻って考えることにした。

夕食

足の具合が良くなく又ご飯食べる場所も見つけられずイライラしてきた。雨もしっかり降り始めた。これはコンビニでお弁当買うしかないかなぁ、折角富山に来たのに。寿司を食べるはずだったのにと心が折れかかった。駅前に行けばよかったのかなぁと今になって思った。

チェックインの時フロントに食事処を尋ね渡されたプリントにあった一番近いお店”仄香”に電話を掛けることにした。予約できたからすぐ行った。

お店に入ると割とスキスキな状態。値段が高いからかなぁ。

ビール🍺と刺身の三点盛り、冷やしトマト、白エビの揚げ物を頼んだ。食べ物はそろったのに肝心のビール🍺が運ばれてこない。もう一度ベルを鳴らし用を伝えると”一番に持ってこなきゃならなかったのにすんません”と店長らしき人が。もう( `ー´)ノ!と心の中。でも美味しかったから許そう(*^。^*)

ビール🍺をおかわりし、締めとしておにぎりを頼んだ(ダイエット中だけれど旅行に限り夕食白米ありルール(^^♪)。明太子おにぎり、とろろ昆布巻きにした。

めっちゃ、めっちゃ、美味しかった。白米一粒一粒が立っていてふんわり握られている。明太子も柔らかく豊富に入っている。極めつけはとろろ昆布。わたあめのようにふわふわ白米を包んでいる。塩気も自然で繊細だった。

富山の想い出はこの”明太子おにぎりとろろ昆布巻き”だ。

お箸で頂いた。かぶりついたわけではない(^^♪

温泉

部屋に戻りコンビニで買ったビールを二本更に開けほろ酔い気分でお風呂に行くのは心臓にあまり良くないとは思ったけれどドーミーイン専用の服を着て二階の温泉に向かった。

肩凝り、冷え性、関節痛に効くと説明書きが貼ってあった。まさにその日必要なメニューだ。

調度良い熱さで長く浸かることが出来た。半外には二つ浴槽があって一つは一人しか入れない大きさのもの、もう一つは四人入ったらぎゅうぎゅうな感じだ。それぞれ人が入っていたから断念した。

その内子ども連れが入ってきてにぎやかになった。それを機に出た。

部屋に戻りすぐ寝た。お湯が合っていたのか9時間ほどノンストップで寝た。疲れがすっかり取れた。

朝食

もう少し早く起きる予定だった。貸し切り状態でお風呂に入りたかったのだ。6時半過ぎにお風呂に行くと貸し切りではなかったけれど断念した浴槽に入ることが出来た。

息子から熱が下がったからゆっくり帰ってきてとLINEがあり安堵したこともあって心がほぐれていた。そんなこんなであっという間に8時半。朝食時間が9時までだったから急いでその場所へ行った。

一人客用にと設定されているのだろうか、窓際のカウンター席が設けられていて選びやすかった。

隣に自身より10歳は年上の女性が座っていた。彼女は次から次へと料理を取りに行き、トレーに積み重ねられたからの皿は半端なかった。建物で表現するなら自身が一階、彼女は三階建てのビルの様だった。やはり食は健康のバロメーターなのだと彼女を見て思った。

心残り

予定では二日目午前中世界一美しいスタバ、富山環水公園店へ行くつもりだった。ところが勉強不足で路面電車を逃し時間がなくなり行けなかった。朝のんびりし過ぎたのが全ての原因だが。

諦めず帰りのひだ号チケットを富山駅で購入した後北に向かって歩いた。重い荷物を引きずって。間に合うかなぁと淡い期待を持って。天気もいい、むしろ歩くと暑かった。スタバのコーヒーは最高だろうなぁと思いながら。でも時間がきた。川を渡り暫く歩いたが公園は見えてこなかった。諦めた。今度の機会にしようと。

Uターンして駅に向かい、お土産を買うことにした。ホタルイカの畳干しと塩辛。お箸。お弁当も買った。

ホームは昨日程混んでいなく安心した。何より天候が良いことが気分を明るくした。

高山到着。息子が迎えに来ていた。ホッとした。