3月20日から一泊二日で高山に行った。旅行ではなく㋃から仕事を始める息子の住居での必需品購入の為。本来は本人だけで行くのだろうが車社会の降雪地域高山を車で運転するのは心もとないということだったので過保護感はあったもののついていった(自身は雪国出身)。

無計画が招くこと

その日の天候は寒く雪が降るとのことだったから最後まで交通手段を悩んでいた。車で行きたい思いがそうさせていた。高速道路情報をよく調べると少し前からその日の前後二日間はスタッドレスタイヤの装着規制がかかっていた。それに気付くのが遅くなった。出発前日の遅くに発見。車を借りることにしたが、明日でいいだろうと思ってしまったことがこれからお話をしようとすることを招いてしまった。

当日朝名古屋から高山へ向かう特急ひだの車中、レンタカーを当たったがどこもレンタカー自体がない状態。当日予約が無理なのかなと思いながらもどこかにはあるはずだと思ってトライした。考えてみれば世の中は三連休。そのど真ん中のその日レンタカーを借りるのは難しいと諦め作業を中止した。

高山に着きトヨタレンタカーに行った。聞く言葉にかぶせるように三連休なので,,,と言われてしまった。隣のニコニコレンタカーで忙しそうな女性に声を掛けられた。レンタカーと言葉を発すると同時に今日はないですねぇ。いつですか。とすかさず確認してくれた。今日は無理でも明日はと聞く気になった。聞き方で大分違いを生むものだなと息子と話をした。

次の日朝から車を借りることになった。でも20日はどうしよう。そう思ったとき、ホームセンターに貸し出し軽トラックがあることを閃いた。歩いてホームセンターに向かい、ガスレンジなど生活用品を購入し軽トラックを借りることに成功した(なかなか軽トラックが前の使用者から戻ってこずハラハラしたが)。

借りた軽トラックは運転しづらかった。バックミラーで後ろを確認できない。ほろがかかっていたから。サイドミラーで確認するしかなかった。アクセルも離すとブレーキが半端なくかかる。ドキドキしながら運転したからか道を余り確認できていなかった。息子が隣で自分のスマホでナビゲーションしていたこともあった。

無事アパートに到着。荷物を降ろした後一人で車を戻しに行った。車にナビがあって、ホームを押せばナビしてくれた。途中それでも迷ったが五分と遅れることなく到着できた(貸出時間を伝えなければならなかった)。

ウオーキング

道を覚えるのは得意だった。ウォーキングは毎日少しずつしていた。それが原因だと息子に後で言われた。

ホームセンターから歩きでアパートまで行けると思っていた。大きな通りに出てローソンが見えたらその手前の道を左に曲がったらいいのだと思い込んでいた。だからその通りにした。途中左手に五重塔みたいなのが見えてくるはずだと思って歩いていても一向に見えてこない。きっと歩きに集中していたから見落としたんだと思い突き進んだ。後で思い返すとその時点でおかしいと思わなきゃいけなかったんだと思った。

途中でLINEでトイレットペーパー買ってきてと言われたからドラッグストアで購入しプラスハンドソープも必要だと思って一緒に購入した。あと少しで到着するんだからビニール袋は必要ないと思いそのまま持った。

でも歩いても歩いても見えてこない。ホームセンターから一時間半位歩いた。

日が傾いてきた。急に心細くなってきた。大きな通りはバスは通らない。バス停の時刻表を見たら日に4本くらいだ。タクシーも通らない。手元にある携帯の充電は10%台になった。レンタカーを探す時間をもう少し短くしていれば良かったと後悔した。遠くにラブホテルの看板が見えた。事情を話せば一泊はさせて貰えるだろうと思いながらとぼとぼと歩いた。

救世主

ラブホテルの看板の手前で何故か歩みを止め周りを見回した。半分パニックになったと思う。落ち着け自分と何度も自分に言い聞かせた。と、ラブホテルの二軒位隣にお店があってその前のベンチにお年を召された男性と女性が座っていた。多分その男性の親せきと思われる。声を掛けた。ここはどこなのか。息子のアパートとはどれほど離れてるのか尋ねた。知らないと言われた時には絶望した。高山市は色々な市や村と統合して今の規模の市になったと聞いた。面積は東京都の大きさになるらしい。知らなくて当然。でもそれほど遠くまで来てしまったことが分かって愕然としたのだ。

説明してもらおうとしたけれど相手も自身が行きたい場所を把握できないもどかしい時間が長かった。その為か車に乗って送っていくからと言われた。ご自身は予定があったようで女性に約束があった人に時間が遅れることを伝えてと話していた。申し訳なかった。でも救われた。知らない人の車に乗るのに不安はなかった。本当に命を救われた。恩人だ。コロナ禍でもあるのに見知らぬ人を車に乗せるのに勇気がいったと思う。彼は躊躇していなかった。

本当に感謝しても感謝しきれない。最近は感じられない人のぬくもりを感じた。

自宅に戻ってから心ばかりのものをお店から直接送った。受け取ってくれただろうか。

困った人に声を掛けられたら彼らに習おうと思っている。