幼いころはTV30分制。それも姉弟三人で協議しての視聴。TVと同等の扱いだったのがマンガだった。

話題

親は子どもにスマホを持たせるか持たせないか悩む。自身も悩んだ。それと同じ様な感覚を両親はマンガに持っていたと思う。マンガを持たせることが子どもにとってよからぬことだと判断したのだと思う。それに掛ける時間が取られて本業を疎かにするのでは、変な思想を植え付けられるのではと心配していたのだろう。本を読むことが”正しい道”と考えていた。両親の考えは受け入れて本は読んでいたが、それだけでは物足りなくなっていた。

世の中で”キャンディキャンディ”が流行っていた時は近所の友だちの本を読ませてもらっていた。でもどうしてもその単行本が欲しくなって親に次のテストで良い成績を取ったら買って欲しいと”ねばりの交渉”をした。何とか交渉成立させ必死に勉強した。勉強に集中したのは生まれて初めてだった。結果成績ギリギリだったがゲットした。凄く嬉しかったのを覚えている。

キャンディキャンディは職場で話題になったことがある。私はアンソニーよりもテリィが好きだった。どうしてアルバートさんが…とか、ニールいじめてたのにキャンディ好きになったよね~とぽんぽんと話が出てきて楽しかった。あの時交渉して本当に良かった。

初恋の人

ブラックジャックと結婚したかった。どうして二次元なんだろうと何度も思ったほど。

物語は人に優しいということが軸。外側が一見そう見えないことが多い。何が大切になってくるのか先を視て相手に接していく。たとえその時憎まれようと拒絶されようと。愛が軸になっているから強く魅かれる。B・ジャックが相手に理解されなくて、切ない思いをする時もあるけれど。それもまたいいのだ。

輪廻を連想させる物語を思い出した。いじめっ子の生徒に暴力を受けながらも決してその子を”諦めなかった”先生があることが原因で亡くなる。そのことがその生徒を変容させる。とても感動した話のひとつ。

目の前のことに左右されない大切さを教わったのもB.ジャックだ。無一文の病人に手術を施したり、超リッチな人に破格の手術料を請求したり。何が大切なのか目の前の事象に左右されることなく判断していく。ほぼほぼブレないが時々危うくなる。そこにも引きつけられる。色々な面を見せてくれる。欲望や嫉妬、羨望、憎悪、後悔…人間らしい表情が心にぐっと入ってくる。

周りが宇宙人に見える少年。実は医師も看護師も母親も病気を本人に隠しているだけなのに、それが本人からすれば皆中身が入れ替わった宇宙人で自分に何か試そうしている、身を守らねばと必死になる話。病人に嘘ついたり胡麻化したりしちゃいけないと思うきっかけになった。病気を治すのにはなにより本人の意思が必要だと思った。

今は何でも検索できるから隠せない世の中で告知するのが当たり前になってきているが、自身の周りの大人たちは隠すのが”当たり前”だ。父が倒れた時医師は告知することを勧めたけれど、この時代でも周りは隠そうと必死になる人が多かった。自身は父が薬に関する知識が半端なくあるから隠すのは難しい、治療にも支障が出るからすぐさま告知することを求めた。この考え方のベースになるのはB.ジャック。

色んな話が他にもいっぱいある。何度も読み返す本のひとつ。学校の教科書より勉強になった。教科書の文章や挿絵は一つも頭に浮かばないがB.ジャックは頭の奥深くにある。自身の考え方の基礎になっている。

眠ってる宝

一年半前に父の心の問題もあって心理学を勉強した。顕在意識と潜在意識の比率に驚いた。脳の不思議。時々閃くのは潜在意識の奥深くから顕在意識の領域にポコポコと浮かび上がってきたことなのだと認識することになった。

幼い時に読んだ漫画は今も自身の脳の奥深くにしまってあって必要に応じて顕在意識に浮かんでくるのだと思っている。