東京で生活をしていた時の体験。
環境
最寄りの駅から歩いて15分弱の距離に住まいを構えていた。山の側面を削って建てたマンションの一角に住んでいた。駅からマンションまで登りばかりの道だ。学生が多い土地だったが夜はあまり人通りがなかった。
バイク
雨の日、深夜12時近く。金木犀の香りがする階段を上って道路を左折しようとしたとき右手から50㏄バイクが前を通りすぎた。そしてそれと交差している大きな道路をいつものように渡ろうとしたら、そのバイクの男性と思える人が大きな道路の真ん中でバイクに跨ったまま空を見上げて雨に打たれていた。そして走り去った。異常を感じ恐ろしくなった。
速足で坂を登っていたら同じ50ccバイクが後ろから走り去った。そしてまた同じように後ろから通り過ぎようとぐるっと回ってくるような感じがしたから急いで大家さんの家に通じる階段の脇に身を隠した。それが一番近い身を隠せる場所だった。バイクのエンジン音が探しているように思えた。うろうろしている。音が離れた瞬間を狙って大家さんが運営する食堂に入った。夜も不用心だがドアは開けっ放しだった。安全を確認した後帰宅した。
暫く震えが止まらなかった。
コートの中
深夜、飲み会の後だったと思う。お酒は強い方だ。滅多に酔いつぶれることはない。
駅を降りて自宅近くに来て気付いた。後ろに足音がすることに。どうしても自身の足音に合わせていた。そう思いたくなかった。気のせいにしたかった。まさかそんなことはない。気のせいだ。
住まいは地上が五階。一階に住む自身は五階さがらなくてはならない。
階段を降り始めて暫くして階段を下りてくる足音を聞いたときは頭が真っ白。引き返すわけにもいかず、でもドアを開けて入る間がないことも分かった。
自身の部屋のドアの前まで来た。鍵をさそうとして迷っていた時その人が来た。5mは離れていたと思う。何とも表現できない間が生まれた。長かった。次の瞬間コートをひろげた。裸だった。
無意識に”変態”と言葉にしていた。
彼は去った。満足したのかもしれない。でもそんなことどうでもよかった。襲われなかったことを感謝した。ほっとした。震えが止まらなくなった。
その”瞬間”というものは体が強張りマニュアル通りにいかない。声を出すことを忘れ、出そうと思っても出ないものだ。無事だったこと本当に奇跡だ。
プラス…コンタクトをしてなかったことも奇跡のひとつだ。
シミュレーション
知り合いにある女性が初老で襲われ心が病んでしまった話を聞いたことがある。老若男女関係なく、いつ何時不意に事故事件に巻き込まれるか分からない。
シミュレーションが大切になってくると感じている。明るい道を通る、携帯をいじりながら、通話をしながら道を歩かない(音をを聞きながら歩くのが大切)は勿論のこと、万が一追いかけられたら身を隠す場所を探しておく、襲われたら”火事だ!”と大声を出す(火事だと叫ぶと周りの家の人が顔を出すと思うから)。大声じゃなくとも襲った人は驚くはず。
娘に伝えたがあまり通じていないように感じる。(ただ、彼女も一度後を付けられ追いかけられた経験がある。)