数日前夜遅くに息子がバイト先から帰宅した。コロナ渦のこともあり予定より遅くなった理由を聞いた。一時間程バイト仲間の恋愛相談にのっていた為自転車置き場が閉まってしまい歩いて帰ってきたとのことだった。(マスク着用も確認した)

ふられた理由

気のある素振りがあったこともあり交際を申し込んだのに振られてしまった。それも答えを一週間保留されたとのこと。少し気になる存在もいるとのこと。(そこでなぜそれを言う!?)彼女は断った理由と保留にされた理由が知りたいそう。

それは前に進むのには必要なことだ。振るならスパッと、判断が早い方が後味がいい。言われる側も言う側にとっても。自身は経験上そう思う。

何故か理由を聞くその大役を息子が担うことになったらしい。よくある話だ。時代を経てもやることは同じ。青春っていい。

詳しいことは話さないが息子も聞いてばかりの時間にストレスを感じたのだろう、少し吐き出した。

遺伝

彼女が凄く頼ってくるのか(彼がそう言うのだ)ほぼ毎晩息子とLINE電話している。ハンズフリーで話すから時々話し声が漏れる。気になってボリュームを下げるよう頼むことがある。聞くと毎日電話で話すのは疲れる時があるとぼやいている。が、断らないのだからまんざらじゃないのだ。ほとんど聞き役らしい。そこに遺伝を感じた。自身も聞き役に回ることがほとんどだ。

自身が完全に聞き役回った対象の人物で忘れられない人がいる。

高校三年生

理由は覚えていないが同級生女子が仲間外れにされた。高校生でも時々ある。

女子は大抵グループ行動してその中で情緒を安定させている(時代を超えてもそれは変わらないと思う)。がしかし、時々どのグループにもいい顔する子がいる。それはターゲットになる。彼女がそうだった。

女子のしがらみは不自由だし、苦手だから自身は余りとらわれないようにしていた。昼休みバレーボールする仲間はいたけれど放課後約束して遊ぶ友だちはクラスにはいなかった(卒業後数年して心を通わせる友はいた。30歳と少しで亡くなってしまったが。)教室では男子女子話したい人と一緒にいるか一人でいた。だから話しかけやすかったと推察する。

下駄箱で彼女に突然話しかけられた。

自殺を考えている。と彼女は言った。驚いて下駄箱のすのこに座ってずっと話を聞いた。なるべく強い言葉は使わないようにした。ただ聴く。自分の緊張感を悟られないようにただ聴いた。どのくらい経っただろうか暫くすると彼女は自分から立って帰っていった。次の日は休まず学校へ来た。顔には出さなかったが、自殺と聞いて本当にドキドキした。彼女の顔を見て安堵したのを覚えている。

大学バイト仲間

予備校のバイトで一緒になった人は酒豪だった。日本酒が好きでガンガン吞む。酔っぱらって乱れた姿を見たことがなかった。ただ愚痴っぽくなる。それに付き合うのは段々苦痛になってきた。

とても疲れているようだった。頭が切れてよく気が付く人だった。だからその分疲れるのかもしれない。話の具体的な内容は覚えていないが、同じことを早口で何度も繰り返し話していたと思う。若かった自身は当時時間だけが気になり始めてもう付き合えないと思っていた。それに夜頻繁にお酒の値段が高いバーへ行って自分の時間を使うのも限界だった。何度か断っていたらそのうち電話が鳴らなくなった。それきりになった。

今感じるのは自分が疲弊してまでも相手の為を思い時間を使うのは間違っているということだ。自分を大切にできない関係性は相手にも良くないのだと今では思う。

勉強になった。

ディスコ友だち

球技は苦手じゃない。キャッチボールは弟としていたし、アイスホッケーも授業だったが好きだった。サッカーもテニスも上手じゃないけれど好きだった。

マラソン大会は大っ嫌い。短距離は好きだった。200Mまで。

創作ダンスはグループ中心になって楽しんだ。本当にダンス習いたかった。

で、ディスコの話に繋がる。

高校時代踊り足りなかったのか大学入って爆発した。親友と二人で夜の街で踊りまくった。そのうち夜の街で知り合った男子二人とつるんで行動するようになった。

その一人から相談を受けるようになった。付き合っていた人が妊娠してしまった。どうしようというものだった。自身は何も助言するわけにいかずただ彼の話を聴くだけだった。彼の言い分に同意することも出来ずただ男女平等を基本に話すしかできなかった。力不足を感じた。どうなったかは聞いていない。暫くして会うことも無くなったから。

その後も自身は親友と踊り続けた。高校生とジェンガを作って歌って踊ってフロアが一体になったことを思い出すと今でもワクワクする。

大学同級生

妊娠と言えば思い出したことがある。同級生だけれど一つ上。相談にのったというよりもひたすら話を聴いたといった方が正しいと思う。

誰の子どもかわからない。下ろしたいけれど病院に付き合って貰えないか、というもの。激しく動揺した。妊娠ということだけでも驚いたのに、誰の子どもかわからにということが更に動揺を激しくした。それに何故自身なのか分からなかった。同じグループではあるけれど、普段からよく話をする間柄ではなかった。よく一緒にいる人ではなくなぜ自身なのか。不思議だった。

全部自分で病院も決めたらしい。当日だけ彼女に付き添った。複雑な気持ちになったことを覚えている。若かったからなのか、命が目の前で途絶えたことを感じてしまったからなのか。そんな自分ではあったものの目の前の弱った彼女を感じて顔に出すまいと強く思った。力になれてよかったと思えた。

後日

最初に記述した息子のバイト仲間同士の恋愛事情の話。相手にも確認したらしい。初めから気持ちがなかったらしい。人の感情や認識は個人差があるということだろう。彼女が思わせぶりに感じた態度は彼にとっては”普通”なのだ。一週間返事を開けたのはまさか告白を受けるとは思わなかった動揺を抑えるのと返事を考える時間に当てられたということだ。

仲介に入った息子はよい仕事をしたのではないかと感じた。只相談は、自分を大切にできる環境や状況が整っているならば受けてもよいのではと自身の経験から息子にはそう伝えた。