大学生で
ホームシックになったのは実家を離れた18歳の時。
両親と離れた日の夜はずっと泣いていた。不安で心がいっぱいになった。寮生活で人は周りにいたけれど、知らない場所で知らない人たちとの生活。何もかも初めての経験。不安にならないで大丈夫と励まされても落ち着くのは難しかった。
両親のありがたさを痛感した瞬間。毎日泣きはしなかったけれど心が寂しさにあふれていた。泣けなかったのは理由があった。
同室の同期
自身の二段ベッド下の同期が一週間夜になると泣いていた。寝不足にはならなかったが、寝る時彼女の息遣いを耳にすると切なくなった。自分はしっかりしなきゃと思った。
留学生
一人暮らしを始めて何年たったころかは覚えていない。
部屋でリラックスしていたところ、深夜突然廊下に叫び声が。廊下を何往復もしながら叫んでいた。内容は分からなかった。
暫くすると、自身のドアを叩いてきた。力いっぱい。
そしてドアに爪を立てて上から下へひっかいていた。キィーキィー嫌な音がした。黒板に爪を立ててひっかいたような不快極まりない音。耳をずっと塞いでいても耐えられなかった。
どれくらい続いたか覚えていない。何が起こっているのか分からないことが更に不安にさせた。恐怖映画の中に飛び込んだ感じ。大家さんに電話できる時間ではなかったから我慢するしかなかった。寝られなかった。
翌日事情が分かった。東南アジアからの留学生男子がホームシックにかかり騒いだとのことだった。
心
一昨年、昨年と二年間父の心と向き合った。心は繊細で、一度心の病気にかかるとなかなか以前の状態に戻らない。
経験上、何かおかしいと思ったらすぐに医者やカウンセラーに頼った方がいいと思う。特に本人の周りにいる人たちが気付いたらすぐに。
早く気づき対処できていたなら父はまだ生きていたのかもしれない。後悔している。
人は心の問題を軽視する傾向にあると感じる。そして恥ずかしいことだと思いがちだ。周りに知られないようにする。少なくとも自身の周りの環境は。そこが辛かった。
自分を解放出来る相手を見つけられたら医者いらずだ。でもそれが難しいからその道のプロにすぐに頼ってもいい優しい環境があったらと父を失って感じた。