待ち合わせ時間の一時間半前に家を出た。バス、電車を乗り継ぎ徒歩20分歩いた。初めての場所だったため途中道を間違え人に尋ねた。反対方向に歩いていたから焦ったが、充分ゆとりをもって家を出た為15分前に焼き肉店に到着し彼らを待った。
第一印象の重要性
最初の印象がその後の関係に影響すると聞いたことがある。でも今まで生きてきて最初の印象が良くても悪く変わったことはある。
ハッピーサプライズが起きた時今まで信用していた人の反応が悪かったり、逆にショッキングなことが起きた時遠く感じていた人が親身に助けてくれたり。
そこで自分に対する気持ちがハッキリ見える時はある。だから第一印象が良い悪いは面接以外はそう大してあてにはならない。
準備
前振りで娘から”目が離れてるから驚かないで”と言われた時は悩んだ。驚くほど目が離れているとはどんな状態なのか、何かイメトレしていった方が本人を傷つけずに済むのか、いやそれ自体失礼なのではないかと頭の中グルグルした。
入口に入ってくる姿をガラス越しに見た。顔ははっきり見えなかったけれど二人の姿を見た瞬間雰囲気が似ていると感じた。黒のタートルに黒のスーツ、娘は黒の革ジャンにブルーグレーのパニエスカートだった。娘は仕事帰りだから分かるけれど、土日休みの彼には、焼き肉だし普段着でと来てくださいとお願いしていた。でも軽装とは思えない服装に少し居心地が悪くなった(笑)自分は言葉通り軽装で臨んだのだ。
入口でご挨拶。確かに目が離れていることを確認。でも驚くほどじゃない。その奥に見えるまっすぐな感じは好印象だった。
聴き上手
お酒が席にくるまでに”娘のどんなところが良かったのですか”と聞いた。慌てた娘がお酒が来る前だよと注意してきた(笑)ただそれほど彼の佇まいが穏やかだった。聞きやすい雰囲気を持っていた。本人も聴き上手なんですと言ってきた。お酒が好きで飲み歩いているらしく、50~60代とよくお話をするのが好きとのこと。聴き上手じゃないと会話が成立しにくいだろうからそれは本当のことだと思えた。だとすれば娘との今後は明るい。
仕事以外で相手の話を聴きたいと思う男の人は少ないと認識している。今までの経験からだ。人間誰しも自分の不利になることに触れたくないからどの性であっても積極的に相手に接していこうとは思わないだろうけれど。ただここぞという時に話をしていかないと大きな後悔を生んでしまう。昨日読み終えた夏目漱石の”こころ”で更に強くそう感じた。普段から心を開き人の話を積極的に聴いている彼は多分自分に不利な状況であっても娘の言葉を聴いてくれるに違いない。
最後まで
何を話していたのか細かくは覚えていない(笑)
娘が生まれた瞬間どんな思いだったか。抱っこして病院の階段を朝日を浴びて上がりながら何故か”神様、この子をありがとうございました”と感謝をしたと彼に話した途端娘は泣き始めた。彼がどう感じたかは分からないが、どれ程娘を愛し大切に思っているか伝わったと思う。これが酔っぱらっている席だからこそより伝わるのだとも今書きながら思った。
終電ではなかったけれど会計をしたときは周りに他の客はいなかった。それが分からない程時間を忘れた。楽しかった。彼は入ってきた時とほとんど変わらない様子だったから相当お酒に強い。緊張が酔えなくさせたのかもしれないが(笑)後日娘からもう少しお話がしたかったと言っていたと聞きこの会が成功したと感じた。
静観
第一歩がこの顔合わせだと感じている。後は動くのか動かないのかは本人たちが決めることだ。自然に任せようと思う。娘の人生は娘のものだから。